森崎「うわ~流れてる!すごいね~」
あぐり一行「すごい量だよ~」
森崎 「まさに北海道の代表する… じゃがいもの山!」
佐々木 「ただのジャガイモじゃない! これは“でんぷん”になる 『デンゲン馬鈴薯(ばれいしょ)』 と言います」
森崎 「でんげん! 澱粉(でんぷん)の原料になる 馬鈴薯(ばれいしょ)」
佐々木 「今日やってきた町は小清水町です。 今、小清水町はとっても活気に みなぎっているそうです!」 森崎「活気があるんですか?」
佐々木 「すごく元気がいい町なんですが その秘密がこの “でんげん馬鈴薯”に隠されている!」
森崎「これが活気の源?!」
でんげん馬鈴薯で町が元気になるって どんなことなのでしょうか? その秘密を探っていきましょう。
あぐりメンバーが伺っているのは JAこしみずのでんぷん工場。 でんげん馬鈴薯から“でんぷん”を 作る工場です。
さてここであぐりっこに質問!
佐々木 「でんぷんって一般的に 何に使われているか分かるかな?」
今回のあぐりっこは6年生の 岡田侑樹(ユウキ)君と伊藤なつみちゃん。 2人とも「う~ん?」とだんまり…
森崎「そもそもでんぷんって何ですかね?」
JAこしみず 根本政仁さん 「一般的には片栗粉とかお菓子とか ラーメンとか…」
佐々木「ハイ!そのへんでもうちょっと…」
藤尾 「せっかく教えて頂いてるのに ナゼ止めるの…?」
森崎 「ハハ~ン!あとででんぷんクイズを するつもりだな?」
根本さん 「工場では3種類の原料を使っています。 (紫色のは)新種のコナユキです」
藤尾 「でんぷんを取るためだけに 品種改良されたイモなんですか?」
根本さん「そうです!」
なつみ「知らなかった!」
ではでんぷんの作り方を見ていきましょう。
森崎 「こちらが“でんげん馬鈴薯”を すりつぶしたものですね」
ドロッとしたかたまりです。
森崎「スムージーみたい」
森崎「このすりつぶしたものから…?」
根本さん 「まずこの中から ≪でんぷんにならない水分≫を 廃水を捨てる!」
森崎 「この水分を捨てます。 そしてスカスカになった ≪でんぷんカス≫も捨てます」
この≪水分≫と≪カス≫を取り除くと…
『でんぷん乳』というのが出来上がります。
根本さん 「ずっと置いておきますと でんぷん部分は下に下がって 水と分離しちゃいます。 なので撹拌(かくはん)をしてます」
この水分を真空乾燥機で飛ばします。 すると…
この状態に! でんぷんの一歩手前 水分量が約38%の『生粉(なまこ)』!
触ってみると…
ユウキ「メチャしっとりしてる」
なつみ 「サラサラと言うより ツブツブがあってそれを潰すと サラサラになる感じ!」
森崎「触っててキュッキュしますね」
藤尾 「水分があるから握ると固まりますね。 市販の片栗粉より固まりやすい」
森崎「さてこの“生粉(なまこ)”を?」
根本さん 「さらに水分を18%以下に乾燥します。 そうするとこうしたサラサラした でんぷんになります」
ユウキ 「スゴイ全然違う! 触った瞬間サラサラ」
森崎「気持ちいい~」
佐々木 「これは粒子が細かい! “でんげん馬鈴薯”がこうやって でんぷんに姿を変えましたよ。 そして商品になっていくんです」
ではでんぷんにちょっと 詳しくなったところで… でんぷんクイズ!
この中で“でんぷん”が使われているものは どれでしょう? 食べ物以外にもたくさんありますが、 みんなも考えてみてね!?
あぐりっこの答えは-
ユウキ 「お菓子・と発泡資材と インスタントラーメンです」
なつみ 「でんぷんって学校で栄養って習ったから。 ペンキに栄養入ってても意味ないな~」
みなさんは、何かわかりましたか? さぁて正解は?
JAこしみず 佐藤さん 「正解は…全部です!」
森崎「全部??」
佐藤さん 「そうなんです。 でんぷんはみなさんの生活にとって 無くてはならないものなんですね」
藤尾「口紅もですか?」
佐藤さん「何でもありですね」
ユウキ「あり得ない!」
森崎 「実は私たちの周りには こんなにでんぷんがあふれています。 だからこんなに必要なんだよね!」
あぐり一行の後ろには 山のように積まれた“でんぷん”が…
実は私たちの暮らしに欠かせないもの だったんですね。
森崎 「以前でんぷんを取材しました!」
(2009年9月26日に小清水町にやってきて でんぷんをお勉強しました) 森崎 「馬鈴薯からでんぷんを作るのに ≪引き算≫したものがあったよね?」
でんげん馬鈴薯をすった ドロッとしたかたまりから引いたもの…
森崎 「≪しぼり汁≫と≪しぼりカス≫。 これを有効に使っていました!」
藤尾「何に使っているの?」
かつて取材したリーダーだからこそ知る そのしぼり汁としぼりカスの有効活用とは?
さて引き算するしぼり汁としぼりカスが どう有効活用しているのか? とある場所にやってきました。
森崎「おいで~」
あぐりっこ「すげえ!」
森崎「ここがしぼりカスの館です」
藤尾「すごい、でんぷんの香りします」
これはしぼりカスが集められた 【粕ヤード】。
これらがどう活用されるか?
4年前、番組ではでん粉工場から出る 「でんぷん粕」と「しぼり汁」が それぞれ牛の餌や畑の「肥料」として 利用されている循環型農業について学びました。 2013年の今年、この仕組みが ある発見によってヴァージョンアップ されているということなのです。
その秘密をJAこしみず真柳正嗣さんに 教えてもらいましょう!
森崎 「ってことは(酸性にすることで) 分離が出来るんだ! 上澄みと下(タンパク質)が」
真柳さん 「そしてこの水分は肥料にします。 いい香りの肥料になります。 しかも雑菌がいなくなるんですよ」
製糖工場の副産物である ライムケーキを加えることで 肥料としてパワーアップ!
製糖工場もライムケーキの 新しい使い道ができて喜んでいます。
こうして地域の工場で捨てられていた物が より活用される仕組みが生まれたのです。
森崎 「牛が育つ。つまり牛乳が育ちます。 肥料が育ちます。 つまり畑でとれるものが育ちます。 そしてでんぷん・小麦・てん菜も 育っていって よりより循環になっている! ハイ小清水町がパワーアップ!」
藤尾 「そういうコト~! 小清水が元気になってるって!」
小清水町はおよそ8万7000トンの でんげん馬鈴薯を生産していて、 この工場で「でんぷん」になります。
でんげん馬鈴薯の収穫は9~11月の2ヶ月。 その2ヶ月、工場は24時間稼働し続けます。 そして年間およそ1万9500トンもの でんぷんを作っているのです。
でんげん馬鈴薯が中心となって、 人と人とが繋がっている小清水町。 町の特徴を生かした農業スタイルを 充実させています。
女性部の皆さんと小清水町の オリジナルキャラクター「でん坊」くん。
みんながあぐりメンバーのために 小清水町のグルメ「でんぷんだんご」 をご用意してくれました。
~JAこしみず女性部~ 中山則子さん、林和子さん 南明子さん、中山奈津美さん
あぐり一行 「うわ~ステーキみた」
中山さん 「お豆さんとでんぷんを混ぜ合わせて 焼いた食べ物なんです」
藤尾「小清水ではポピュラー?」
中山さん「伝統がありますよ!」
さてお味は…
ユウキ「ん??うっ…うまっ!」 そしてユウキ大笑い。美味しいんですね。
そしてちょっとお豆が苦手ななつみは…
なつみ 「甘いけれど少ししょっぱいみたいな感じで おやつでも食べられるし いっぱいあればお昼ごはんにも なりそうなぐらい美味しい!」
藤尾 「おもちとは違うプルンとした感じ!」
森崎「うまいよっでん坊!」
佐々木 「このでんぷん団子がきっかけになって さらに町が活性化していると お聞きしたんですが…」
中山さん 「素敵な工場が建っているんです。 そこに行けばみなさんが うわ~ってなると思います」
森崎「わあとなるステキな場所?」
そのステキな場所とは…?
女性部のみなさんにヒントをもらい、 やってきたのは 今年の7月にオープンしたというコチラ!
工場とお店が併設されていて、 気軽に生産ラインを見学できます。 人気商品は小清水町自慢の でんぷんを使ったお煎餅「ほがじゃ」です。
≪福太郎㈱ 小清水北陽工場≫ 住所:小清水町字小清水304-1 電話:0152-63-4141
■ほがじゃ(ほたて味)16枚入り630円
佐々木 「でんぷん団子がきっかけになって ここが誕生したそうなんですが…」
㈱山口油屋福太郎 北海道支店 津野 比呂江さん 「元々こちらの会社は福岡県に本社があり ジャガイモのでんぷんを使ったせんべいを 作っていました。 その際にでんぷんが不足しまして 小清水町の『でんぷん団子』の大きさで ギネスに挑戦!というのを (山口油屋福太郎の)社長がラジオで聞いて それが繋がりとなって小清水町に工場を 建てるきっかけとなりました」
そうなんです。 おととし世界一大きなでんぷん団子を作り ギネスに挑戦した小清水町。 そのチャレンジは見事成功し、 ギネスに認定されました。 そのニュースを偶然、社長がラジオで 聞いていたということなのです。
㈱山口油屋福太郎 山口 毅 社長 「在庫に余裕があるからね。 何か新しいものを作りたいという 若者の挑戦があるんじゃないかと。 また町民の方々や町長さんをはじめ 組合長さんたちがものすごい 協力的なんですね。私どもも お役に立つ企業でありたいという気持ちで 今年の7月から工場をオープンしました」 でんぷんの品質、 そして町の人達に魅了された社長は、 今年、小清水町に工場を構えました。
実はこの工場、ある建物を利用して 作られているんです。ヒントはこの子達!
『こんにちは~』
森崎「なんだあぐりっこみたいだ」
津野さん 「実はここが工場になる前は小学校で その時に通っていた子供たちです!」
森崎「みんな通ってたの?」
『ハイ!』
森崎「なんで?小学校なくなったの?」
『小清水小学校と合併になりました!』
実はこちらは2012年3月に閉校した 小清水町立北陽小学校。
かつてのみんなの学び舎だったんです。
森崎 「廃校になってお菓子工場になった!」
藤尾 「じゃあちょっと前のお菓子になる前の 学校にランドセル背負って行ってた!」
『まあ~そういう事ですね!』
森崎 「じゃあみんなが居た所は何だったの?」
『職員室!』『校長室!』『保健室!』
森崎「そんなにいっぱい!あったんだ」
小学校の面影を残した工場にしたい… ということで、 当時ここに通っていた児童が書いた 小学校の思い出の絵を プロのイラストレーターが色付けし、 工場内に飾っています。
森崎「自分の絵がこうなってどう?」
志和地穂香ちゃん 「恥ずかしいやらスゴイやら…」
森崎「タクマ?何してんの?」
鎌田拓真くん『将棋!』
森崎 「みんなの絵が飾ってあってどう?」
荒木七笑ちゃん 『閉校したけど利用されていて とてもうれしい!』
宮野太一くん 『拓真くんも太紀くんも休日も来る!』
藤尾「えっ自由に遊びに来ていいの?」
森崎「ここショップだよ!」
津野さん 「別のところに休憩所があるので そこは自由に使えます!」
藤尾「へえ~ステキ!」
じゃ~ん、もんすけです! 地元のでんぷんを使った せんべい工場が出来たことで マチは活気づいています。
でんげん馬鈴薯生産者 藤井隆博さん 「目の前に工場があって 加工しているいい匂いが伝わってくる! (馬鈴薯を)使ってくれる工場が 近くにあることで、 ちょっとでも良い馬鈴薯をいっぱい 生産したいと思うようになりました」
でん粉を使った郷土料理を受け継いでいる 町のお母さん達も喜んでいます!
林 和子さん 「誰が来てもお土産として渡せるように いつもストックしています」
中山 則子さん 「お菓子などの形になったことが 私たちにとって働く励みになっている!」
地元の方々の温かい思いを受け、 社長も新たな夢が膨らんでいるようです。
㈱山口油屋福太郎 山口 毅 社長 「将来はもう少し工場を拡張して 北海道の良い食材!そういうものを使った 外食産業の資財を作りたい! おやつになる“ほがじゃ”以上のものを 作りたいと思っています」
それでは小清水町自慢のでんぷんを使った 「ほがじゃ」をいただきます!
太一くん『うまい!』 拓真『ホタテ味だよ』『ピリ辛』
なつみ「ちょっと固めで美味しい!」
森崎「うまい!日本酒飲みたい」
佐々木「バリバリって歯ごたえがいい」
藤尾「美味しい」
さて活気にあふれる小清水町の秘密を 今日一日学んできました…
森崎 「まちが元気になっていく方法が すごくよく分かったと思う。 ひとつは≪農産物から≫町が元気に なっていくこと。もうひとつは ≪無駄にしない≫こと。 でんぷんを作る時のカス。 こういうものをどうやったら 有効活用できるのか? 4年間に確率していたシステムを さらに進化させて作った… そしてこの子たちの学校、 この子たちの想いを無駄にしない! この無駄にしないって思いが 小清水町を元気に元気にしていった! みんないい町に住んでるなあ!」 小清水町の循環型農業によって 人も町も活性化! しかもみんな誇りに満ち溢れてました。 ますますパワーアップする 小清水町から目が離せないぞ~